そんな人におすすめなのがイスカ・エアドライト290です
「軽さ」を優先しながらも保温力もほしい。そんな贅沢な事を考えながら寝袋を探していた時に出会ったのがこのエアドライト290でした
使用温度2℃とスペック高めながらも600gを切る軽い寝袋です
- イスカ・エアドライト290スペックやサイズ感
- 使用感(レビュー)
エアドライト290は保温力より「軽さ・コンパクトさ」にこだわる人向け!
単体での保温力に頼りなさも感じますが、ウエアを着たり、インナーシュラフを併用する事で幅広い使い方ができる寝袋でした!
- キャンプ歴は20年以上
- 渓流釣り5年目
- アルプスから低山まで山登りに夢中
- 装備はできるだけ軽く、ULなスタイルで歩き回っている(現在のベースウエイト4.4kg)
エアドライト290の基本情報
最低使用温度 | 2℃ |
平均重量 | 560g |
収納サイズ | φ14 × 24cm |
サイズ(レギュラー) | 78(肩幅)×210(全長)cm |
羽毛量 | 290g(750FP撥水ダウン) |
構造 | 上部:ボックスキルト構造 下部:シングルキルト構造 |
生地 | 15デニールリップストップナイロン |
エアドライト290の特徴
- 最低使用温度2℃、750フィルパワーの高品質ダウン使用
- 生地に15デニールの撥水加工ナイロン
- 軽量性に優れたシングル構造
- 3D構造で体の形にフィットする構造
- ジョイントテープで連結が可能
- 携帯性に優れるコンパクトさ
特徴についてもう少し詳しくみていきましょう
最低使用温度2℃、750フィルパワーの高品質ダウン使用
エアドライトシリーズには750フィルパワー(FP)の高品質なダックダウンが使用されています(エアドライトには290gのダウンが封入されています)
出典:イスカ
フィルパワーとはダウンの性能を評価する基準の一つで、一定の条件下でダウン30gの復元力を表したものです。FPの数値が大きほど性能が高く、同じ重量で多くの空間を満たすことができます。
イスカでは世界基準であるIDFL(International Down And Feather Laboratory)でフィルパワーを計測しています[引用:イスカ HP]
メーカーが表示している「最低使用温度」について
イスカの寝袋は各モデル「最低使用温度」が表記されています
ナンガやモンベル、ニーモやサーマレストなどの寝袋は、統一規格(ヨーロピアンノーム)での測定により算出された温度表記をしていますが、イスカの寝袋は統一規格での測定値を表記するのではなく、独自の規格によって算出された「最低使用温度」が表示されてます
EN(ヨーロピアンノーム)とはEU諸国の統一規格として制定されている規格の総称で、寝袋の温度表記はEN13537によって同一基準で算出された温度表記で示されます
「EN13537で測定した寝袋はみんな同じ基準で算出しているからメーカーによって差はないよ」
「だから、メーカーを越えての寝袋のスペック比較がしやすくなってるよ」
ってことです
イスカの寝袋もEN13537での基準での測定をしているそうですが、最終的にユーザーへの表記はイスカ独自のデータや経験に基づいた独自の最低使用温度を表記しています
なぜ独自の温度表記なのか?
今では独自の温度表記をすることはデメリットでもある中で、それでもイスカが独自の温度表記をしているのには理由があります
EN13537の検査はヨーロッパの体格のマネキンに温度センサーを取り付け、静止状態で行われますが、寝返りなどの「動き」が考慮されていないことが指摘されています。また、寝袋のサイズがタイトな寝袋の方が良いデータ結果になる傾向にあるようです。
生地の素材によっても通気性の劣るシェル素材の生地の方がデータとしてはよい結果がでますが、実際の使用となると快適性に悪影響がでてしまったりもするようです
イスカ独自の温度表記はあえて快適睡眠をできる余裕を残した温度表記をしています
[イスカカタログより一部抜粋]
EN13537で同じ基準で算出した温度を表記するよりも、実用性を考慮し、イスカのこれまでのデータと経験から実用性のある現実的な温度表記にしているよってことです
ちなみに、ヨーロピアンノームで測定ができるのは「マミー型」の寝袋のみだそうです(イスカの方に伺いました)
それが気になった私は実際にイスカで働く方に聞いてみました!
イスカの寝袋は「東レ」の施設で、実際に人が入っての検査を重ね、さらに蓄積されたデータを基に最低使用温度を算出しているそうです!
生地に15デニールの撥水加工ナイロン
生地には15デニール(D)ナイロンを使用されています
デニールとは合成繊維の糸の太さを表す単位です
デニール数が高くなるほど糸が太くなり、太い糸で織った生地は強度が高くなります
薄い生地には強度を確保するために格子状に繊維が縫い込まれたリップストップナイロンが使われています
撥水加工がされているのでテント内の結露などへの接触からダウンの弱点である「濡れる」ことを防いでくれます
また、熱と圧力によるダウンプルーフ加工が通気性を確保しつつ、ダウンの抜けを防いでくれます
水を弾いてくれて、通気性が高く、極薄の強度のある最高の生地が使われているよってことです!
軽量性に優れたシングル構造と保温性に優れたボックスキルト構造のコラボ
出典:ISUKA
エアドライト290の構造は寝袋上部には保温性を高めるためにボックス構造になっていて、下部は軽量性を両立するためにシングル構造になっています
シングル構造は寝袋の表地と裏地を縫い合わせた構造で、縫い目には厚みがなく、保温性がありませんが、サマーモデル用として耐久性と軽量化をはかれ、コンパクトな収納が可能となります[引用:イスカ HP]
ボックス構造のメリットはダウンのロフトを損なわずに性能を最大限引き出すための構造で、ボックスの隔壁には通気性に優れたメッシュを使用しています[引用:イスカ HP]
3D構造で体の形にフィットする構造
出典:イスカ
人の体の断面は背中側が小さく、胸側が大きい丸みを帯びた形をしています。イスカが採用している3D構造は体の断面に沿って胸側にゆとりをもたせていて狭すぎず広すぎない自然な内部空間を作り出していて、体に合ったウエアのように圧迫感がなく快適な寝心地になっている[引用:イスカ HP]
ダブルジッパーで温度調節もらくらく
ダブルジッパーになっているのでジッパーをあけることで熱を放出し、温度調節が簡単にできます
ジョイントテープで連結が可能
イスカの寝袋には足元のフットボックスに結びつけるための紐と、ループが備わっていて、別モデルとの接続ができるようになっています
携帯性に優れる軽さ・コンパクトさ
エアドライト290は収納袋も合わせた重量は実測で571gです
バックパックひとつで行動する人にとって寝袋は装備の中でも大きい方ですから、寝袋が軽くなる事で効率的に総重量を軽くする事ができます
エアドライト290と500mlのペットボトルを比べるとこんな感じ
かなりコンパクトになります
寝袋がコンパクトになる事で、大型のザックがなくてもテント泊の登山やキャンプに行く事ができます
なんでエアドライトにしたのか?
3シーズン用のシュラフを選ぶ時にエアプラスにするかエアドライトにするかで迷いました
エアドライトにした理由は「コスパ」と「保温力」、「収納性」のバランスが良かったからです
どちらにするかで迷っている人はこちらの記事で違いなどを詳しく解説しています
エアドライト「290」を選んだ理由
エアドライトだけでもエアドライト140〜エアドライト860まで7種類のラインナップがあるわけですが、その中でも3シーズン用としてはエアドライト190、290、480があります
- 冬用シュラフとの使用時期が重ならないこと
- 厳冬期(1月〜3月)にはインナーとしても使えること
- 単体での使用でもしっかりと保温力があること(春・秋をカバー)
- インナー・ウエア着込む事で低い気温でも対応できそうだった事
- 軽量・コンパクトであること
- コストをできるだけ抑えたかったこと
この欲張りすぎる条件に対してドンズバだったのがエアドライト290です
この条件についてはこだわったところなのでもう少し詳しく説明させてください!
冬用シュラフとの使用時期が重ならないこと・春夏秋の3シーズンで幅広く使える事
エアドライト290の1ランク上のエアドライト480は最低使用温度がマイナス6℃と高い保温力があるのですが、これだと夏場は暑くて使えないし、冬用のシュラフを持っている私にとっては使用できる時期がかなり限定的になってしまいます。
冬用シュラフとの使用時期が被らないスペックだったのがエアドライト190か、290でした
私が道具を購入する時に必ず考えていることがあって、「用途が重ならないこと」です
同じような機能の道具をいくつも持っていても一度に使用できるのはひとつですし、いくつも持っていることが選定の悩みにもなります
それぞれの道具が唯一無二であることを意識しています(失敗談は数え切れません・・・)
エアドライト190は最低使用温度が8℃と時期は夏に限定されてきてしまいます
手持ちの寝袋の使用時期を考えると、エアドライト290は私にとって一番幅広く使うことのできる寝袋でした
厳冬期(1月〜3月)にはインナーとしても使えること
私が使っている冬用シュラフはダウン量が600gで、厳冬期の山岳地帯での使用となると頼りないのが悩みでした
厳冬期の山岳地帯で使うのであれば、ダウン量が750〜900gほしいと考えていたのですが、今持っているシュラフのインナーとして使うとなると、エアドライト290と合わせるとダウン量が890gとなり、保温力としてはかなり高くなります
ダウン量が890gあれば厳冬期の山岳地帯での使用も可能になってきます
単体での使用でもしっかりと保温力があること(春・秋をカバー)
単体としての戦闘力が高いことも絶対に譲れなかった条件です
2500mを超えるような山岳地帯での使用時や、初春、晩秋の気温が低い時期(冬用では暑いと感じる季節)での単体使用に使えるシュラフがエアドライト290でした
インナー・ウエア着込む事で低い気温でも対応できそうだった事
真冬に使うための寝袋は持っていますが、できれば氷点下(マイナス3℃くらいまで)でも使える寝袋がいいなと思っていました
エアドライト290は単体での最低使用温度は2℃ですが、ウエアを着込み、インナーシュラフを使うことで氷点下まで対応できそうだったのがエアドライト290です
インナーシュラフはシートゥーサミットのインナーを使っています
詳しくはこちら
答え合わせというか、実際に使ってみて体感したエアドライト290の保温性については後述していますので参考にしてみてください
軽量・コンパクトであること
インナーとしても使えて、単体としても使えて、対策次第で氷点下まで対応できつつ、
軽量でコンパクトであること!!
イスカのシュラフで「ダウンプラス・タトパニX」も候補として考えられたのですが、タトパニXしなかったのは重量と収納サイズが大きかったことがネックでした
このわがままな条件にぴったりだったのがエアドライト290!!と、エアプラス280です
エアドライト | エアプラス | ダウンプラス | |
重量 | 560g | 550g | 750g |
収納サイズ | φ14×24cm | φ14×24cm | φ15×30cm |
コストをできるだけ抑えたかったこと
ここまできて、候補としてはエアドライト290か、エアプラス280の二択になったわけですが、私の欲張りな条件はまだあります
インナー、単体として使えて、軽量・コンパクトで携帯性に優れつつも・・・
コストがかからないこと!!
すべての条件を満たしてくれたのがエアドライト290です!
エアドライト290 | エアプラス280 | ダウンプラス・タトパニX |
¥33,990 | ¥40,700 | ¥25,300 |
一番コストがかからないのがタトパニXですが、比較した中では一番大きいのがダウンプラスでした(重量・コンパクトさ)
一番スペックが高いのがエアプラス280ですが(かなり魅力)、コストがかかってしまうのがネックになります
すべてのバランスが絶妙なのがエアドライト290だったわけです!!
使ってみて感じること
エアドライト290を使い始めて何度か車中泊やキャンプに行ってきました!
ここからは実際に使ってみて感じたことを紹介いきます!
「最低使用温度2℃」のエアドライト290の保温性について
私は寒さへの耐性はそこまで高くはないと思っています(どちらかといえば寒がり)
私にとってはイスカが表記している使用最低温度はちょっとハードかなと感じるのが本音です
エアドライトを使って秋〜初冬に何度かキャンプをしましたが、
外気温が8℃の環境で車中泊した時は朝まで寒さを感じることなく眠る事ができた
外気温が5℃の環境でテント泊をした時、寒くて何度か起きた(ウエアは上下アンダーのみ)
外気温が3℃の環境でタープ泊をした時、インナーシュラフを使用しましたが、寒さを感じて眠る事ができなかった(ウエアは上下アンダーのみ)
上下アンダーだけでは寒かったので、フリースを着込み、下半身にはダウンブランケットを巻き付ける事でなんとか寝る事ができました
ジッパーがスムーズで噛みにくい!
使ってみてびっくりしたのがジッパーのかみにくさです
いたって普通のジッパーなんですが、開閉もスムーズにできるし、生地を噛むこともないのでストレスがありません
通気性の高さを実感!蒸れにくくて快適!
「防水性の高い寝袋こそ使いやすい寝袋だ」って思っていたんですけど、エアドライトを使ってみてちょっとその考え方が変わりました
エアドライトは寝ていて蒸れにくいんです!
エアドライトには通気性の高い素材が使われている事を実感しました!
あくまで3シーズン用!冬に使うシュラフを探しているなら違うモデルを選ぶべき!
エアドライト290には冷気の侵入を防ぎ、保温力を高めるためのショルダーウォーマーや、ドラフトチューブなどの付帯機能はついていません
シュラフの構造上、冷気が侵入しやすいのが肩周りと、ジッパー部分です
シュラフの冷気が侵入しやすい肩周りにダウンを集めているのがショルダーウォーマーで、ジッパー周りのダウンが薄くなる箇所からの冷気を遮断するための付帯機能がショルダーウォーマーです
エアドライト290は3シーズン用のシュラフとして、軽さ・コンパクトさが魅力ですが、保温性能については必要ない機能をつけずに軽さにこだわっています
冬でも単体での使用を考えている人にはエアドライト290では頼りないでしょう
冬用のシュラフを選ぶ時には使用されている「ダウンの量」「ダウンの質」以外にも、付帯機能はチェックするようにしましょう!
【口コミ】エアドライト290のレビュー
エアドライト290についてのレビューを紹介します
2022年6月「大満足」
とてもいいシュラフです。 ジッパーも全く噛みません。 コンパクトだし、涼しい時期はこのシュラフで大丈夫そうです。
引用:楽天市場
2022年8月「コンパクト」
山と自転車キャンプのために購入しました。かなりコンパクトにまとまり、荷物に余裕を持たせることができるため気に入りました。ただ、コンパクトな分収納袋がかなりタイトな設計になっているようで、結構力を入れて詰めないと中々仕舞えないので注意です。
引用:アマゾン
保温性能は、個人的に快適な温度が8℃くらいまでで、それ以降はシュラフカバーを併用しないと寒いと思います。また、撥水性能が優秀で、自転車に積んでいるときに30分ほどにわか雨に降られたときでも、少し払うだけで全部水が飛んでいきました。そのため、シングルウォールテントで使うときでも、あまり神経質にならなくても良さそうです。
(もちろん縫い目からは染みてしまいますが)
まとめ
- 最低使用温度2℃、750フィルパワーの高品質ダウン使用
- 生地に15デニールの撥水加工ナイロン
- 軽量性に優れたシングル構造
- 3D構造で体の形にフィットする構造
- ジョイントテープで連結が可能
- 携帯性に優れるコンパクトさ
- 冬用シュラフとの使用時期が重ならないこと
- 厳冬期(1月〜3月)にはインナーとしても使えること
- 単体での使用でもしっかりと保温力があること(春・秋をカバー)
- インナーシュラフの使用やウエア着込む事で低い気温でも対応できそうだった事
- 軽量・コンパクトであること
- コストをできるだけ抑えたかったこと
- 冬:厳冬期の登山でのインナーとして
- 春:インナーと組み合わせてメインシュラフとして
- 夏:アルプスなどの高山での単体使用
- 秋:気温に合わせてエアドライト140をインナーに氷点下まで対応
エラドライト290はこんな人におすすめ!
- 保温力よりも軽さやコンパクトさを重視している人
- 環境や季節によって対策できる人
- 3シーズンでの使用がメインだけど、状況によって氷点下でも対応できる寝袋を探している人
- 厳冬期にはインナーとしての使用もできる寝袋を探している人
おわりに
イスカ・エアドライト290の紹介でした!
数えきれないほどある寝袋の種類ですが、3シーズン用の寝袋としてエアドライト290は間違いなくおすすめできる寝袋です
何かみなさんの寝袋選びの参考になればうれしいです
最後まで読んでいただきありがとうございました
ではまた!