そんな人にMSRウィンドバーナーパーソナルシステムがおすすめです
この記事ではMSRウィンドバーナーパーソナルシステム(以下ウィンドバーナー)の特徴をお伝えしつつ、実際に使ってみて感じたことを解説します
湯沸かしにかかる時間についても比較してみました
- キャンプ歴は20年以上
- 渓流釣り5年目
- アルプスから低山まで山登りに夢中
- 装備はできるだけ軽く、ULなスタイルで歩き回っている(現在のベースウエイト4.4kg)
MSR(Mountain Safety Research )とは
MSRはラリーペンバシーが1969年に立ち上げたアメリカのブランドです
「より良い、より安全な、より信頼性の高いギアが、より大きな冒険を解き放つ鍵になる」という考えのもと、テントや、ストーブ、クッカーや、スノーシューなどの登山ギアを作っています
MSRのブランドヒストリーについてより詳しく知りたい人は公式ホームページをご覧ください
MSR ウィンドバーナーの基本情報
MSR ウィンドバーナーの魅力
MSR ウィンドバーナーを使ってみて感じたこと
実際に使ってみて感じたことをいいことも悪いこともレビューしていきます
さっそく特徴を詳しく見ていきましょう
専用のポッドがバーナーを覆うから高い耐風性
一般的にガスバーナーは火力(出力)が強いのである程度の風がある状態でも問題なく使うことはできますが、風がある状態では多少の影響を受けます
ウインドバーナーは使用時に専用のポットがバーナーの燃焼部を覆う状態になります
しっかりとロックする構造になっているので風の影響をほぼ受ける事なくポットに熱を伝えてくれます
低温時の使用とドロップダウン現象について
耐候性が高いということでちょっと余談
通常、内部のガスは気化する時に熱が奪われることで冷たくなります
低温化での使用と、ガスが気化する際に熱を奪われてしまうことでカートリッジが冷やされ、燃料が気化できなくなり、火力が低下してしまうことをドロップダウン現象といいます
MSRのガスカートリッジは低温環境でも使用できるようにイソブタン80%にプロパン20%がブレンドされています
で、マイナス15℃の環境でどうだったかというと、
ドロップダウンしました
全く使えなったと言うことはなく、長時間で連続使用すると火力が弱くなりました
使用中にドロップダウン現象が起こってしまった時には、カートリッジを手で覆って温めたり、カイロで温めたりすることで火力はもどります
使用前に寝袋などに入れてカートリッジを温めておくことで対策をしましょう
ポッドの底の形状が熱伝導を高める
専用のポットの底にはフィンがついているような形状になっていて、この形状が燃焼効率を高める役目をしてくれています
ラジエントバーナー機構で高効率・低燃費
ウィンドバーナーの最大の特徴でメリットとも言えるのがラジエントバーナー機構が採用されていることです
ラジエントバーナー機構とは一次空気だけを使用して燃焼する構造のことです
通常のガスバーナーは燃焼時に一次空気と二次空気が混ざります
ウィンドバーナーは一次空気のみを使って燃焼するので効率が良く、また低燃費なバーナーです
一次空気とは、カートリッジとの接続部分から供給される空気のことで、二次空気とは燃焼している周りから取り込む空気のことです
燃費の良さは雪山で大活躍
前述したとおり、高い燃焼効率から短い時間でお湯を沸かすことができます
これが雪山で使うのに大活躍してくれました!
厳冬期の雪山では飲み水を確保するために雪を使います
この作業が結構ガスを消費してしまうのですが、このウインドバーナーだと燃焼効率が高いので雪を溶かすのもスムーズにできましたし、カートリッジも小さい110缶でガス欠することなく済みました(1泊での使用)
ポットとバーナー本体がロックできるから安定感がある
ポットには本体との接続部分にロック機能が付いていて接続した状態でしっかりとロックする事ができます
(ロックした状態で持ち上げている写真)
しっかりとロックした状態では横にしても外れたりしないので安定感は抜群です
使用中はロックすることでクッカーがズレることがなく安心して使えます
取り外し可能な耐熱グリップ
クッカーとは違い、手にはめ込んで使える耐熱のグリップがついています
取り外しも可能で、ポットで直接調理などをした後にはグリップを取り外して洗う事ができるので衛生的です
レバーを引くだけで簡単に取り外しが可能なので簡単です
約500mlのボウル付き
ウィンドバーナーに付属しているボウルは容量は約500mlで、実際に測ってみたところ、ボウルいっぱいに水を入れた状態で494mlの水を入れる事ができました
実際には400mlくらいが実用的な容量です
熱いものを食べる時にはコジーなどに入れるなどの対策が必要です
計量に便利な目盛り付き
ウィンドバーナーのポットとボウルには計量するのに便利な目盛りがそれぞれについています
ポットには300mlから800mlまで100ml単位の目盛り付き
ボウルには120ml、240ml、360mlの目盛りが付いています
ポッドとボウルの両方に取り付けできるフタ
ポットとボウルの両方に取り付ける事ができるフタは注ぎ口が2種類あって、用途によって使い分ける事ができます
キャニスタースタンド付きで安定感抜群
大小どちらのカートリッジにも対応できるスタンドは安定感の向上させるのに便利です
ウィンドバーナーはその形状から高さがあるので、スタンドを使う事でしっかりと安定させることができます
収納方法で収納袋なくてもOK
ポットの中に必要なものを全て収納可能!中に入らないボウルは外にスタックさせることができます
ピッタリと入るので専用の収納袋などは必要なく、そのままでバックパックの中に入れる事ができます
写真に写っているものを全てポットの中に入れる事が可能(ボウルは外にスタック)
使用しているガスカートリッジは小さい方の110缶です
大きい227缶はクッカーの中に入らないので注意が必要です!
イソプロガスカートリッジは残量確認が容易にできる
ガスカートリッジのデメリットは残量の確認ができない事です(できるけどめんどう)
MSRのガスカートリッジは水に浮かべる事で簡単に残量が確認できます
水にどのくらい浮くかで残量が分かるのは便利です
300mlのお湯が沸くまでの時間を比較
私が持っているストーブで300mlのお湯が沸くまでの時間を比較してみました
- MSRウィンドバーナー
- プリムス・フェムトストーブ
- オプティマス・スベア
- エバニュー・チタンアルコールストーブ
結果はこんな感じ
MSR ウィンドバーナー | プリムス ナノストーブ | オプティマス スベア123R | エバニュー Tiアルコールストーブ |
1分31秒 | 2分01秒 | 3分28秒 | 4分40秒 |
ウィンドバーナーは1分31秒で沸かす事ができました
他のストーブと比較すると圧倒的な速さです
ちなみにそれぞれのストーブの火力(出力)は以下の通り
MSR ウィンドバーナー | プリムス フェムトストーブ | オプティマス スベア123R | エバニュー Tiアルコールストーブ |
1765kcal/h | 2100kcal/h | 1300kcal/h | 記載なし・不明 |
火力(出力)としてはプリムスの方が高いですが、ウィンドストーブの方が熱伝導や、高効率であることからお湯は早く沸かすことができます
デメリット
いいことばかりではありません
- 着火装置がない
- 専用のポットしか使えない
- 耐熱グリップは思った以上に熱くなる
- 付属のボウルは熱いもの入れると持てない
- MSRのガスカートリッジも他と比べて価格が高い
- 流通量の少なさ(カートリッジの入手がしにくい)
- 重い
着火装置がない
ウィンドバーナーには自動点火装置が付いていません
ライターを必ず携帯する必要があります
点火してからポットをはめ込まなければならないのも手間としては面倒に感じました
せっかくだからポットをセットした状態で点火ができればもっと使いやすいのにちょっと残念なポイントです
火が付いたか分かりにくい
ウィンドバーナーはガスを噴射した時の音が小さく、さらに炎も見えにくいので火が付いたかが分かりにくいです
専用のポットしか使えない(1リットルは容量としては大きい)
燃焼部は専用のポットを取り付けるための形状になっているため、他社のクッカーなどは使えません
キャンプなどにおいて色々な料理を楽しみたい場合にはウィンドバーナーは不向きです
行動食は基本的にお湯を注ぐだけのフリーズドライやアルファ米などで済ませる人にとっては1リットルの容量は必要ありません(500mlくらいで十分)
専用ポットは深型で食べにくい
登山に行った時にウィンドバーナーを使って袋麺を作って食べてみました
実際に食べてみると、
ポットが深いので食べにくいです
このクッカーで調理して食べるなら長めのカトラリーはマストアイテムです!
私は普段も深型のクッカーはよく使うのですが、それよりもさらに深いので食べにくいと感じました
耐熱グリップは思ったよりも熱くなる
付属のボウルは熱いものを入れると持てない
フリーズドライ食品やミニカップ麺などを食べるのに便利な付属のボウルですが、
実際にお湯を入れて使ってみると熱くて持てません
これには手袋をするとか、コジーを使うなどの対策が必要になります
MSRのガスカートリッジも他と比べて価格が高い
本体価格だけでなく、カートリッジも価格は高めです
カートリッジに関しては使うことのできる温度帯の幅が広いので納得できる部分もありますが、私の使っていたプリムスのカートリッジと比べるとやはり値段の高さは感じてしまいます
MSR イソプロ110 | ジェットボイル ジェットバナー100 | プリムス IP110 | EPI パワーカートリッジ |
770円(税込) | 605円(税込) | 561円(税込) | 583円(税込) |
他社のカートリッジと比べてもその価格は高く、低燃費な事を考えたとしても、本体の初期費用とランニングコストは高めです
流通量の少ないために入手が難しい
プリムスやEPIなどは流通量が多く、ホームセンターなどで購入する事もできますが、
MSRはそこまで流通量が多くはないので、カートリッジひとつ買うにもアウトドアショップに行かなければ行けません
重い
本体にカートリッジを入れた状態での重量は670g
(ちょっと使用してから重量を計ったので実際はもう少し重いです)
ウルトラライトな装備を求める人にとって調理器具一式の重量が670グラムになってしまうのはデメリットと言えます
低燃費であることから長期のトレイルとなった場合には燃料を含めて考えた場合にトータルで軽くなってくる事は考えられるものの、日帰りや数日ではウィンドストーブは重い装備となってしまいます
ウィンドバーナーをより便利に使うためのオプションパーツ
ウィンドバーナーをより便利に使うためのオプションパーツも豊富にあります
出典:モチヅキHP
ハンギングキットを使えば木やリッジラインに吊るして使うことができるのでハンモックに横になりながらの使用も可能
出典:モチヅキHP
コーヒーを楽しむためのコーヒープレスキットや、炒め物をするためのスキレットもあります
出典:モチヅキHP
ローダウンリモートストーブアダプターを使うことで2.5Lポットや4.5Lポットを使っての調理ができるようになり、大人数にも対応していく事ができます
まとめ
- 専用ポットがバーナーを覆うので風の影響を受けにくい、熱をロスなく伝える(300mlのお湯を沸かすのにかかる時間は1分31秒)
- ポット底の形状が効率よく熱を伝える
- 一時空気を使用して燃焼するラジエントバーナー機構なので燃焼効率が高く、低燃費
- プレッシャーレギュレーターがついているので外気の影響を受けずに使う事ができる
- ポットとバーナー本体がロックできるので安定感が高い
- 耐熱グリップは取り外しできるので衛生的
- ポットとボウルには目盛りが付いているので水を無駄なく使う事ができる
- ポットとボウルの両方に取り付け可能なフタは穴が空いているから注ぎやすい
- スタンド付きなので安定感が高い
- 考え込まれた収納方法でカバー入らず
- イソプロガスカートリッジは残量確認が容易にできる
- 着火装置(イグナイター)がない
- 専用のポットしか使えない
- 付属のボウルは熱いもの入れると持てない
- ガスバーナーとしては値段が高い(かなり)
- MSRのガスカートリッジも他と比べて価格が高い
- 流通量の少なさ(カートリッジの入手がしにくい)
- 重い
ウィンドバーナーはこんな人におすすめ!
- できるだけ調理の時間を短縮させたい人
- お湯を使ってアルファ米やフリーズドライなどを食べるのがメインの人
- 悪天候でも使うシーンを想定している人
- 長期トレイルを歩く人
- 雪山で使う人
おわりに
MSRウィンドバーナーの紹介でした
この手のバーナーは使うのが初めてだったのですが、使ってみてお湯が沸くまでの速さにびっくりしました
釣りに行った時は夢中になってしまい、ご飯を食べる時間ですら惜しいと思うこともありますが、ウィンドバーナーなら一瞬でお湯が沸かせるので重宝してくれそうです
最後まで読んでいただきありがとうございました