この記事ではTi400NHの特徴を解説しつつ、実際に登山やキャンプで使ってきて感じた事をレビューします
Ti400NHをスタッキングできるクッカーやマグも合わせて紹介します!
Ti 400 NH(ECA625)の基本情報
サイズ | 外径102mm、内径95mm x 深さ58mm |
容量 | 400ml |
重量 | 34g |
素材 | 純チタン |
生産国 | 日本 |
紹介するTi400NHは2023年に発売した商品です
もともとはTi400FD Cupというハンドルの付いたクッカーがありましたが、NH(ノンハンドル)タイプがTi400NHです
Ti400FD Cupはハンドル付き
出典:アマゾン
これまでは一部のULハイカーやULキャンパーさんがTi400FD Cupのハンドルをカスタムしてノンハンドル化させていました
その需要を商品化したのがTi400NHです
それでは早速特徴を詳しくみていきましょう
容量400ml!クッカーとしては最小クラス!
容量が400mlのTi400NHはクッカーとしては間違いなく最小クラスで、クッカーと呼ぶか、マグと呼ぶか迷うサイズ感です
私はキャンプの時などにはエバニューのバックカントリーアルミポッドを使うことが多いのですが比べてみるとこんな感じ
バックカントリーアルミポッドの容量が650mlでソロキャンプで使うのにピッタリですがTi400NHはそれよりもさらにコンパクトです
外径は102mmなのでバックパックの中にパッキングをしやすいサイズです(スタッキングの相性は後半で解説!)
NH(ノンハンドル)でさらに軽量化!
このTi400NHの最大の特徴と言えるのが「ノンハンドル」であること
「扱いやすさ」を犠牲にすることで「軽さ」に振り切った仕様になっています
Ti 400 NH | Ti 400 FD |
34g | 50g |
チタン製なのでTi 400 FDでも50グラムと超軽量ですが、ノンハンドルにすることでそこからさらに16グラム軽量になっています
マルチディッシュと合わせても50gを切るクッカー
Ti400NHにはフタが付属していません
クッカーとして使う場合にはエバニュー・マルチディッシュがフタとして使えます
Ti400NH(34g)とマルチディッシュ(13g)を合わせても47g!
50gを切るクッカーの出来上がりです
150ml、250mlの目盛りつき
目盛りって無くても何とかなるんですけど、やっぱりあると便利です
Ti400には150mlと250mlのメモリがあって、150mlのメモリはかなり重宝します
直径102mm(外径)はストーブの火がちょうどあたる!
Ti400NHは底面の直径が102mmあるのでアルコールストーブやガスストーブでちょうど火があたります
クッカーとして使うにはギリギリまで径が小さく
さらに径が小さくなると火がはみ出してしまい、加熱する効率が下がってしまいます
Ti400NHと一回り小さいTi Demitasse 220を比較するとこのようになります
Ti400NH(95.8mm) | Ti Demitasse 220(76.2mm) |
3分15秒 | 3分45秒 |
条件が同じだと径の大きいTi400NHの方が30秒早く沸かすことができました
ちょっとの差ではありますが、Ti Demitasse 220の方が径が小さい分、火が当たる面積が小さいので沸かすまでに時間がかかります
使ってみて感じたこと
ここからは実際に私が使ってみて感じた事などを解説します
コップとしての使い道・「加熱」しながらいつでも熱々を楽しめる
Ti400は焚き火にかけながら飲むことができるので、冬キャンプでは結構いい感じに活躍してくれます
コップとして使うには容量は大きめですが、鍋料理の取り皿にしたり、入れた飲み物や食べ物は焚き火にかけておけば加熱してくれるのでいつでも熱々で楽しめます
直接手で扱うのは注ぎやすい!
これまでハンドルのついたクッカーばかり使ってきたので直接カップを掴むのには若干の「怖さ」がありましたが・・・
直接手で扱うのは注ぎやすかったです
こだわってコーヒーを淹れたい人なんかはこのカップはいいのかなって思います
ノンハンドルは扱い方をどうするかが悩みどころ
ノンハンドル化で16グラムの軽量化になったわけですが、「どうやって扱うか」が問題です
熱したクッカーを直接掴むのは無理
なので、
- 手を保護して扱う(手袋など)
- ポットリフターなどを使う
- クッカーに難燃のバンドを巻いて扱う
考えられるのはこの3つ
軍手は掴めるけど滑りそうな不安がある
軍手は火傷対策として有効ですが、滑りやすいので注意が必要です
私は手が大きい方ですが、それでも軍手で掴む時には不安を感じたので、この方法はあまりおすすめできないかも・・・
軍手の代わりに手拭いなどでも使ってみましたが、あまりおすすめできるものではありませんでした
ポットリフターを使う
ポットリフターを使う方法はどうか
個人的な結論としては「ナシ」でした
というのも、ポットリフターの重量を考えると、ノンハンドルの軽量化のメリットがほとんどなくなるんですよね・・・
クッカーを複数持って行って、ハンドルを使い回すならいいんですけど、Ti400だけしか持って行かないのなら軽量化は見込めなくなります(厳密には2gは軽量化できるけど・・・)
ナベツカムは非対応なのか?フチが浅くて外れるから注意
エバニューのポットリフター「NABETSUCAM」で掴めるのか試してみたところ、Ti400の溝が浅く、掴もうとすると外れてしまいます
ポットリフターは非対応になっていのか、外れやすいので使わない方がいいです
難燃シリコンリングで熱さ対策
インスタグラム:evernew_japanより
NHの発売に合わせてエバニューから発売された難燃素材のシリコンバンド
カップ本体に難燃素材のものを巻きつけることで扱えるようにします
難燃シリコン以外にも、カーボンフェルトを巻き付けたりして使っている人もいますね
エバニューからもシリコンバンドは発売していますが、
ただ、このバンド、
エバニューで働く人も「熱くて持てない!」って言っていました
純正のシリコンリングは8g・軽量化の効果はどれくらい?
Ti400NHに対応しているのはMサイズで重量は8gです
難燃のベルトを巻いてみるけど・・・
私も難燃のベルトを巻いて使っていますが、
沸騰直後は熱くて直接は触れません!
なので手拭いなどと併用して使っています
結論としてはそのまま使うのがベスト
ノンハンドルになって軽量化に成功させたのを難燃バンドやポットリフターを使うことで効果が半減してしまいます(便利なハンドルを取っ払ったのにこれでは本末転倒)
ですので・・・
私はそのまま使っています!
クッカーを掴むときは手拭いを手に巻いて使っています
容量400ml=400mlのお湯は作れない
実際に400mlを入れてみるとこんな感じです
ギリギリなので火にかけるどころか、動かすのも大変です
400mlの容量のTi400では作れるお湯の量は350mlが限界です
350mlでも結構いっぱいです(300mlくらいがちょうどいい)
それ以上のお湯を沸かそうと思うと沸騰した時に吹きこぼれてしまいます
沸騰させて吹きこぼれ始めたら手遅れになる!(触れない)
気をつけなければいけないのは、吹きこぼれるまで加熱してしまうことです
吹きこぼれ始めるとクッカーに触れなくなってしまいます(こうなるとどうにもできない・・・)
吹きこぼれないように水の量を調整するか、吹きこぼれる前に加熱をやめるなどして吹きこぼれないようにしましょう
Ti400NHのサイズ感・350mlでできる事
Ti400NHで沸かせるお湯の限界は350mlほどと言いましたが、それぞれ食べ物や飲み物で必要になってくる水の量はこんな感じです
- コーヒー・紅茶:150〜200ml
- アルファ米:150〜180ml
- フリーズドライ スープ・雑炊:150~180ml
- 日清カップヌードル(レギュラー):300〜320ml
- 赤いきつね/緑のたぬき:410/400ml
- サッポロ一番(袋麺):500ml
- マルタイラーメン(袋麺):450ml
- チキンラーメン(袋麺):400ml
袋麺を食べるには必要なお湯の量を作ることができませんが、カップ麺や、コーヒー、スープなどを作るには問題ありません
スタッキングについて
クッカーといえば悩ましいのがスタッキング問題ですよね
空気は運搬したくないのでできるだけ効率よく重ねたいですよね
Ti400NHにスタッキングできるクッカーやマグカップをいくつか紹介します!
Ti Demitasse 220NH/FH が中に入る
Ti400NHの中にTiデミタス220NH/FDが入ります
シンデレラフィットというにはちょっと隙間が多くあいてしまうのですが、Ti400NHをメインにサブのマグを持っていきたい人にはピッタリの組み合わせです
Ti570 FD cup/Ti Storage pot 560の中に入る
出典:アマゾン
Ti570 FD cup/Ti Storage pot 560の中にTi400を入れることができます
山頂で袋麺を作りたい人や調理を楽しみたい人にはこの組み合わせがおすすめ
Ti SOLO pot NHの外にピッタリハマる
出典:インスタグラムevernew_japanより
2023年発売商品の目玉商品、カタログの表紙にもなっているTi SOLO pot NHがTi400NHの中にハマります
Ti U.L Deep pot 640の外側にピッタリハマる
Ti U.L Deep pot640もTi400NHの中に入ります
容量640mlあるのでTi400NHとの相性もよく、ラーメンなど作るにはこのサイズがおすすめ
スノーピーク トレック900の中に入る
他ブランドではスノーピークトレック900の中に収まります
私がTi400の中に入れているもの(パッキング例)
参考までに私がTi400NHの中に入れているもの紹介
- アルコールストーブ
- 風防
- 五徳
- ライター
- フォールダーカップ(コップ)
燃料も入れたいところですがコップを入れると入らないので燃料は別で持って行っています
まとめ
- 容量400mlクッカーとしては最小クラス
- ノンハンドルになって16g軽くなった
- 重量34グラムでフタと合わせても50gを切る軽さ
- 150ml、250mlの目盛付きで計量しやすい
- 飲み物をたっぷり入れることができる
- 冷めても再加熱できるのでいつでも温かい飲み物が飲める
- 直接手で掴むと注ぎやすい
- 手で掴むためには火傷しないよう対策が必要
- ポットリフターは引っ掛ける溝が浅くて使えない
- フタがあった方が効率的に加熱することができる
- 一度に沸かせるお湯は350mlがギリギリ
- キャンプで使うクッカーとしては小さい
ハンドルがアリ・ナシで迷っているなら
冒頭でもお伝えしましたが、ハンドル「アリかナシか」で迷っている人にはハンドルがついたTi400FDの方がおすすめです
実際に使ってみて感じたのはハンドルがあった方が扱いやすいということです
どっちにするかの決め手としては「扱いやすさ」と「重量」のどちらを優先させるかってことになってくるわけですが、
- ハンドルのアリ・ナシで16gしか変わらない
- ノンハンドルでも結局リフターを持ったり、難燃バンドを巻かないと使えない
というのが正直な感想です
ハンドル・アリのTi400FDでも重量は50gと十分軽量で、ULを目指すにしても80点は取れるアイテムです
ベースウエイト3kgを目指すようなカリカリのグラムカッターならともかく、80点の合格点を目指すならノンハンドルを選ぶ必要はないと思います
おわりに
ノンハンドルはおすすめしない。と言いつつも何か使いたくなる不思議なクッカーです
Ti400NHは使い勝手は悪いクセに「愛着勝ち」している私の1軍クッカーになりました
最後まで読んでいただきありがとうございます
何かみなさんの道具選びの参考になれば嬉しいです