そんな人におすすめなのがイスカ・エアドライト140です
この記事ではエアドライト140の特徴やメリット・デメリットをお伝えしつつ、実際に使ってみて感じたことを解説します
クセのあるアイテムなので、この記事がみなさんの寝袋選びの参考になればうれしいです
イスカ・エアドライト140

エアドライトシリーズはイスカの寝袋のラインナップの中でもハイスペックなシリーズで、軽量・コンパクトになることからキャンプだけでなく、登山での使用にも適しています
そんなエアドライトシリーズの中で一番薄手なのがこの記事で紹介するエアドライト140です
イスカは昭和47年(1972年)に創業された日本のアウトドアブランドです
寝袋(シュラフ)をメインに、スタッフバッグやレインバッグカバー、スパッツ、ソフトクーラーなどを取り扱っています
イスカの企業情報について詳しくは公式ホームページをご覧ください
エアドライト140の基本情報・特徴

- 中綿に750フィルパワー撥水加工ダックダウンを使用
- 生地に15デニールの撥水加工ナイロン
- 軽量性に優れたシングル構造
- 3D構造で体の形にフィットする構造
- フードレスの形状でウエアとの併用が必要
- ジッパーレスで軽量化に特化、使いやすさよりも重量重視!
- タイトめのサイズ(体格のいい人にはキツい)
- 携帯性に優れるコンパクトさ
- 夏場の登山にちょうどいい保温力(組み合わせ次第で便利に使える)
中綿に750フィルパワー撥水加工ダックダウンを使用

エアドライトシリーズには750フィルパワー(FP)の高品質なダックダウンが使用されています(エアドライトには140gのダウンが封入されています)
出典:イスカ
フィルパワーとはダウンの性能を評価する基準の一つで、一定の条件下でダウン30gの復元力を表したものです。FPの数値が大きほど性能が高く、同じ重量で多くの空間を満たすことができます。
イスカでは世界基準であるIDFL(International Down And Feather Laboratory)でフィルパワーを計測しています[引用:イスカ HP]
寝袋に使用している羽毛は、皮膚が進化する過程変化したものであり、哺乳動物の体毛にあたります。羽毛には「フェザー」と「ダウン」があり、軽量、コンパクトな機能を求める寝袋にはダウンを主に使用しています。
またダウンにはグース(ガチョウ)とダック(アヒル)があり、一般的にはグースの方がダックに比べてダウンボールが大きく、かさ高性に優れていると言われており大量の空気を取り込むことによって高い保温力を発揮します。
グースダウンは羽枝、小羽枝が細くて柔らかいために、ドレープ性、保温性、耐久性にも優れた特性を持っています[引用:イスカ HP]
イスカの寝袋にはモデル名に数字が入っています(例えばエアドライト140)
モデル名の数値は封入されているダウン量を表しているので覚えておくと比較する時に便利です
生地に15デニールの撥水加工ナイロン

生地には15デニール(D)ナイロンを使用されています
デニールとは合成繊維の糸の太さを表す単位です
デニール数が高くなるほど糸が太くなり、太い糸で織った生地は強度が高くなります
薄い生地には強度を確保するために格子状に繊維が縫い込まれたリップストップナイロンが使われています
生地には撥水加工がしてあるのでダウンの弱点である「水濡れ」にも対策されています
出典:イスカ
熱と圧力によるダウンプルーフ加工が通気性を確保しつつ、ダウンの抜けを防いでくれます
軽量性に優れたシングル構造

シングル構造は寝袋の表地と裏地を縫い合わせた構造で、縫い目には厚みがなく、保温性がありませんが、サマーモデル用として耐久性と軽量化をはかれ、コンパクトな収納が可能となります[引用:イスカ HP]
3D構造で体の形にフィットする構造
出典:イスカ
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人の体の断面は背中側が小さく、胸側が大きい丸みを帯びた形をしています。イスカが採用している3D構造は体の断面に沿って胸側にゆとりをもたせていて狭すぎず広すぎない自然な内部空間を作り出していて、体に合ったウエアのように圧迫感がなく快適な寝心地になっている[引用:イスカ HP]
より詳しく知りたい人はイスカ公式ホームページで解説されている!
構造やダウンについてさらに詳しく知りたい人はイスカ公式ホームページでの解説が分かりやすくておすすめです
イスカ公式ホームページ・シュラフの選び方【構造と仕様・縫製】
フードレスの形状でウエアとの併用が必要


エアドライト140はマミー型の寝袋と違って、肩から上がありません
寒かった時の対策として、ウエアとの併用だったり、帽子をかぶったりする必要があります
首元にはドローコード付きで冷気の侵入を防ぐ

ジッパーレスで軽量化に特化

重量は実測で312gと寝袋としては軽量です
軽量な秘密の一つは、
ジッパーがないこと
ジッパーがないことはエアドライトの最大の特徴とも言えます
タイトめのサイズ(体格のいい人にはキツい)

イスカのエアドライト290(マミー型寝袋)は肩幅が78cmありますが、エアドライト140は肩幅70cmとタイトな作りになっています
寝袋は体と密着することでより高い保温力を発揮してくれますが、同時にタイトすぎると窮屈さを感じてしまいます

足元のフットボックスなどは窮屈さはありません
携帯性に優れるコンパクトさ

500mlのペットボトルと比べるとこんな感じ、
大差ありません
実際に持ってみるとよりコンパクトさを実感できます

最低使用温度8℃、夏場の登山にちょうどいい保温力(組み合わせ次第で便利に使える)

エアドライト140は最低使用温度が8℃で寝袋としては薄手でので夏場の使用などに適した3シーズン用の寝袋となっています
イスカの寝袋が独自の算出で温度表記している理由
ナンガやモンベル、シートゥサミットなどの寝袋はEN13537 方式での測定され、統一された温度表記になっています
寝袋はEU諸国の統一規格「ヨーロピアンノーム」いによってEN13537方式で算出されています
統一された検査基準によって検査された温度表示は、
- コンフォート(快適使用温度)
- リミット(下限温度)
- エクストリーム(限界温度)
の3つが算出されます
それに対し、
イスカの寝袋は蓄積したデータや経験に基づいたイスカ独自の最低使用温度で表示されています
検査は静止状態で測定されるため、寝返りなどが考慮されていない点が指摘されています。イスカの分析では、ややタイトな寝袋の方が良いデータ結果がでるようですが、実際の快適睡眠には適度な余裕が不可欠なため、データの低下を承知の上で、あえて快適睡眠を実現できる余裕を残しています。生地素材においても寝袋内部はドライな環境を基準としています。(通気性の劣るシェル素材はデータアップするものの、実際での使用では寝袋内湿度の増加が保温性能と快適性に悪影響をあたえます)[引用:イスカ HP]
メーカーに問い合わせてみた・封筒型の寝袋は検査機関で温度測定できない
エアドライト140の温度表記について疑問があったのでメーカーに問い合わせをしてみたところ、
封筒型の寝袋に該当するエアドライト140は検査機関での測定ができないため、フィールドテストを基にしたデータで目安として設定されている使用温度になっているそうです

エアドライト140のスペック

私がエアドライト140を選んだ3つの理由
私が求めた条件は以下3つです
- 快適性:夏場に単体で使用も可能なレベルの保温力
- 携帯性:便利な機能よりも軽量・コンパクトさを重視したかった
- 多様性:インナーとして保温力のブーストさせたい
この3つの条件を満たしてくれたのがエアドライト140でした
詳しく見ていきましょう
快適性:夏場でも単体で使用も可能なレベルの保温力

中綿に使用されているダウンの量は140gなので寝袋としては超薄手です
薄手ですが、最低限の保温力があり、単体での使用も可能なのがエアドライト140を選んだ理由です
携帯性:便利な機能よりも軽量・コンパクトさを重視したかった

使い勝手の面で不安に思っていたジッパーがついていないことについてですが、結論としては、
問題ありませんでした
ジッパーがついていなことはデメリットにもなりますが、軽量化やコンパクトさではメリットになります
機能は最低限に携帯性を重視したい私にはぴったりな寝袋でした
多様性:インナーとして保温力のブーストさせたい

私はすでに寝袋は2つ持っています(3シーズン用と冬用)
2つの寝袋を使い分ければ年間を通して問題なくキャンプや登山を楽しむことができます
エアドライト140は薄手で、サイズもタイトなのでインナーとして使用するのにぴったりでした
オーロラライト600DXがダウン量600g、エアドライト140がダウン量140gなので合わせて740gになります
740gのダウンの保温力なら厳冬期の山岳地帯での使用も可能になってきます
ウエアとの併用することでさらに広がる多様性

エアドライト140を使おうと思った理由として、ウエアとの併用を前提に考えていました
夏場での使用をメインに考えていたこともあり、寝袋は胸まで入って、寒ければウエアを着ることで快適に過ごせると思ったからです
ウエアを何にするか、脱ぎ着することで快適に過ごせることができるし、カバーやシーツも併用していくことで多様に使用していくことができるようになります
エアドライト140にするか160にするか迷っている人へ

エアドライト140が気になっている人は高確率でエアドライト160とどちらにするかで迷うと思います(私がそうだったから)
エアドライト160との違いや特徴、選び方についてはこちらで詳しく解説をしています
使ってみて感じたこと
実際にエアドライト140を使ってキャンプをした時に感じたことを解説していきます
ハンモックキャンプにはおすすめしません

私が好きなキャンプスタイルがハンモック泊です
ハンモックとエアドライト140の相性は良くありませんでした
理由はジッパーがないことです
ハンモックは宙に浮いているので地面で寝るよりも不安定です
通常の寝袋なら、ハンモックに寝袋をセットして、横になってからジッパーを閉めれば寝ることができますが、エアドライト140はそうもいきません
まずハンモックに座った状態で靴下を履くようにエアドライトに入り、その後にハンモックに横にならないといけません
地面で寝るよりも準備が大変でした
幅70cmのタイトさ、ジッパーなしについて

購入時から気になっていた横幅がタイトでジッパーがないことについてですが、潜り込むののがちょっと大変ですが、潜り込んでしまえば窮屈さは感じません
出入りが窮屈なだけで寝ている時にストレスと感じるほどではありませんでした
不安だった温度調節はウエアの脱ぎ着と「ずらし」で問題なし!

寝袋も布団と同じように入っていると暑くなったり、寒かったりします
購入前に気になっていたのが、
ジッパーがないことで寝袋内の温度調節ができない
ことでした
ですがこれも結果としては問題ありませんでした
暑ければ着ているウエアを脱ぎ着したりすることで温度調節できますし、胸までかけていたエアドライトをお腹までずらしたりすることで温度調節ができます
夏場(8月)での北アルプスでの使用

8月の中旬に北アルプスの常念岳に1泊2日でテント泊をしてきた時にもこのエアドライト140を使用しました
フードがないので防寒着としてフード付きの化繊ジャケットを使い、胸から下をエアドライトに入って寝ましたが快適でした
単体での使用の限界について
気になっていたのがエアドライト140の単体での使用の限界についてでした
さまざまな環境で使用してきましたが、結論としてはメーカー表示の8℃以下では単体の使用は難しい(寒い)と感じました

一番寒い環境での使用は北アルプスの蝶ヶ岳でテント泊をしたときで、寝る時の気温が7℃ほどだったのですが、単体では寒く、上下ダウンを着て、インナーシュラフを使用して寝る事ができました

インナーとしてはかなり心強い
単体での使用は夏がメインで、(気温で言うと10℃くらい)
冬には寒さに不安がある時でもプラス300gで保温力をブーストさせられるということに心強さを感じます
エアドライト140のメリットとデメリット
メリット | デメリット |
・軽量 ・コンパクト ・組みわせることで広がる多様性 | ・ジッパーレスで出入りしにくい ・タイトな作りで体格のいい人にとっては窮屈 ・フードレスなのでウエアとの併用が必須 |
イスカの寝袋の残念なところ:保管用バックが付属していない
エアドライト140を購入して少し残念だったのが、
専用の保管用バックが付属していないことです
寝袋の保管用バックとしては、何がのメッシュバックがおすすめで、メッシュになっているので洗濯ネットとしても使えて一台二役です!
まとめ
- 中綿に750フィルパワー撥水加工ダックダウンを使用
- 生地に15デニールの撥水加工ナイロン
- 軽量性に優れたシングル構造
- 3D構造で体の形にフィットする構造
- フードレスの形状でウエアとの併用が必要
- ジッパーレスで軽量化に特化
- タイトめのサイズ(体格のいい人にはキツい)
- 携帯性に優れるコンパクトさ
- 夏場の登山にちょうどいい保温力(組み合わせ次第で便利に使える)
エアドライト140はこんな人におすすめ
- とにかく1gでも軽量にしたい人
- できるだけ荷物をコンパクトにまとめたい人
- 冬用の寝袋の保温力のブーストに使いたい人
- 組み合わせ次第で使い方を広げられる多様性を求めている人
- エマージェンシー用に携帯したい人
おわりに
夏用寝袋、エアドライト140の紹介でした
機能は最低限でクセの強い寝袋ですが、アイデアや組み合わせ次第で多様性は広がります
自分のレベルや用途にあったベストな道具をみつけてアウトドアを楽しみましょう!
最後まで読んでいただきありがとうございました
みなさんの寝袋選びの参考になれば嬉しいです